若い人が選挙に行っても、政治は変えられない
若い人に向けて「選挙に行けば政治を変えられる」とよびかける人がいますが、これはウソですね。日本は平均年齢が48歳の、高齢社会だからです。20歳から39歳までの日本人は、40歳以上の人の3分の1しかいないんです。
となると、20歳から39歳までの人が全員選挙に行ったって、40歳以上の人の多くが選挙に行ったら、そちらの意見が尊重されます。
40歳以上の人の投票率は5割に近いので、39歳以下の人ははじめから‟負け戦”。どんなにがんばっても、人数で勝てません。
もちろん「選挙に行けば政治を変えられるというメッセージは、まったくのウソではありません。高齢者が政治を変えたいのなら、事実です。高齢者が全員選挙に行けば、政治家も彼らが望む政治をするでしょう。
でも、少数派の若者の全員が選挙に行っても、若者向けの政治が行われることはありません。いまの日本政府は、与党も最大野党も、高齢者向けのことしかいいません。高齢者が受け取る年金や医療費を抑えないとまずいとわかっているのに、なかなか手を入れません。
一方、子育て・少子化対策だとか非正規社員の就労支援など、若い世代のための政策はなかなか実現されません。政治家も、高齢者にウケる政策をしないと選挙で勝てないのが、いまの日本の現実なのです。若者の支持を集めて選挙に勝つ人もいるでしょうが、政治を変えるほどにはなれないでしょう。
こういうウソをつくのって、よくないとぼくは思います。というのも、このウソは「若者が選挙に行かないから、政治が高齢者好みのものになっている。いまの政治が悪いのは若者の責任だ」といっていることの裏返しになるからです。
明らかに間違っています。若者が全員選挙に行ったって初めから勝てないこの仕組みこそ、政治が変えてほしいですけどね。