ブランド名の変更は「言葉狩り」の結果?

2017年から続いていたファミリーマートの惣菜ブランド「お母さん食堂」が消滅する。菓子、加工食品などと一本化され、10月19日から順次「ファミマル」という新ブランドになるという。

写真=AFP/時事通信フォト/Charly TRIBALLEAU
2019年5月20日、東京都内のコンビニエンスストアを訪れる人。

このニュースにネットがザワザワした。実は昨年末、兵庫、京都、岡山の女子高生らがSNSで「『お母さん食堂』の名前を変えたい!!!」との署名活動を立ち上げ、結果的に7561人の賛同者が集まった。活動の理由は、「お母さん食堂」という名称が「食事は女がつくるもの」という性役割を固定化し、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を助長するというもの。そのため、今回の名称変更に一部から「言葉狩りに屈したのでは」とうがった見方をされているのだ。

ファミリーマート側は、この署名活動は関係ないと説明をしているが、このような憶測が飛び交ってしまうのは、近年、ジェンダーや人権の観点から、企業などに名称変更を求めて抗議をするような「言葉狩り」へ強い反感を抱く人が、それだけ多いということの表れかもしれない。

そこで気になるのは、そもそもなぜ「言葉狩り」が増えているのかということだろう。

クレームを生きがいとするモンスター客が増殖中

よく聞くのは、「カスハラ」という問題に象徴されるように、一般人がモンスター化しているからという理由だ。自身のストレスや社会への不満を発散するため、企業の製品・サービスに八つ当たりのようにクレームをつけ、謝罪を要求したり、発売を停止させたりという嫌がらせを生きがいとする人が増えているというのだ。

また、保守的な思想をお持ちの方たちの間では、この手の「言葉狩り」は、いわゆる左翼的な人々が、日本の伝統的な家族観や美意識を破壊するためにやっているのだという。

いずれにしても、「言葉狩り」が増えている原因は「クレームを入れる側」や「社会」にある、という認識が広まっているのだ。

もちろん、そういう側面もあることは否定しない。が、実際に「言葉狩り」をされている企業側の対応を手伝ってきた立場から言わせていただくと、実は企業自身が招いた「自業自得」であるケースも少なくないのだ。