再婚が増えるほど未婚男性が影響を受けるワケ

そして、出生性比以外にも、未婚の「男余り」現象の要因があります。それが再婚数の増加です。婚姻数が激減している事実は周知のことと思いますが、婚姻数が一番多かったのは1972年で、年間約109万9984組。それが、2018年は60万組を割り込み、約59万9007組になりました。ほぼ半減です。しかし、その中で再婚数だけは逆に同期間比で1.3倍に増えています。

これは、そもそも離婚数自体が増えたからなのですが、再婚数が増えると、未婚の「男余り」が増えます。以下の図表1は、1950年からの再婚数と国勢調査に基づく未婚男女人口差分(=男余り人口)の推移です。相関係数0.8721というとても強い正の相関がみられます。再婚が増えれば増えるほど、男余りが影響を受けることになるわけです。それはなぜでしょう?

「時間差一夫多妻」という残酷な現実

再婚の組み合わせは「再婚同士」「再婚夫×初婚妻」「再婚妻×初婚夫」の3種類に分けられます。組み合わせ別の再婚比率を時系列でみると、1980年代からほぼ変わっておらず、「再婚同士」と「再婚夫×初婚妻」の組み合わせがほぼ同数で推移します。2019年の実績でいえば、「再婚同士」37%、「再婚夫×初婚妻」37%、「初婚夫×再婚妻」26%ということになります。「再婚妻×初婚夫」の組み合わせだけが少ないのです。「再婚妻×初婚夫」と「初婚妻×再婚夫」とでは常に1.4倍近く差があります。

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要するに、バツあり男は未婚女性と再婚し、バツあり女は未婚男性を選択しないということです。それによって未婚女性の絶対数だけが減ります。その中には、何度も結婚離婚を繰り返す男性もいるでしょう。冷静に考えれば、複数回も離婚する人間というのは、そもそも結婚生活に向いていないんじゃないかとも思うのですが、不思議と婚活の現場では、バツあり男は頼りがいがあってモテるという話も聞きます。

そうした複数再婚者に押し出され、一度も結婚できない生涯未婚の男性が増えることになります。これを私は、「時間差一夫多妻」と呼んでいます。