「あんなに苦しむんだ」という実態を報道するべき

コロナに感染して肺炎を起こすと、非常に激しい咳に悩まされると、巷間伝わっています。

正高信男『自粛するサル、しないサル』(幻冬舎新書)

だが、実際にどんなものなのか、見た人などごく限られるのではないでしょうか。少なくとも、私は見たことがありません。「あんなに苦しむんだ」という実態を、もっとメディアは報道すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

日本では副反応が社会問題化したことから、子宮頸がんワクチンがまったく流布していません。思春期の女子をもつ保護者が、これだけワクチンに拒絶反応をするのは、ひとえにテレビのニュースで、ワクチンを接種したがために身体に激しいマヒが残ったとする女性のショッキングな映像が流されたからです。映像には、そういう百万遍の理屈をしのぐ効果があります。ところが、コロナ感染に関しては、その特性をまったく活用しようとしません。

患者やその家族が報道されることによって、まさにコロナハラスメントにあうことを危惧し、人権上の配慮を考えてのことかもしれません。だが、感染拡大を食い止めるために、あえて報道に応じるという人々を捜す努力、そして、患者や視聴者の過度な心理負担にならないように留意しつつも、あえて批判を覚悟のうえで放送するという勇気をもったテレビ関係者がいてほしいと思います。

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