低学年から親が勉強を押し付けると、“勉強アレルギー”に
「低学年のうちは、塾で学習する時間は1回1時間半から2時間程度。公文式だと1回30分未満という人も多い。そうなると、放課後学習で主軸になるのは塾ではなく、家庭での勉強習慣になります。“とりあえず塾に入れておけば安心”と大船に乗った気持ちで家庭学習をおろそかにするのは極めて危険なこと。それこそ学習格差が開きかねません」
つまり、重要なことは、塾に入れることではない。いかにして家庭で最低限の補習を行うかが、カギとなるのだ。
とはいえ、低学年のうちは、学校から出される宿題すら逃げ回る子が圧倒的多数である。ここで、「勉強の遅れを取り戻さなきゃ」「落ちこぼれないように」などと不安になった親が勉強を押し付けると、かえって“勉強アレルギー”にさせてしまいかねない。他にもやってはいけない対応を、富永さんに教えてもらった。
豪邸より狭小住宅のほうが子供の成績はいい
まず、気合を入れて最初から1日数十分も机に向かわせるのはご法度。むしろ、低学年のうちは1日の学習時間は、「5分か10分でOKが適切」だという。
「経験上、多くの低学年の子供は、1日5分から10分までが限界です。それ以上机に向かわせると拒否反応を起こして逆効果になりかねません。学習を見守る親が仕事で慌ただしいとしても平日の5分、10分ならなんとか捻出できるのではないでしょうか。その時間だけでも親子とも集中してほしい」
ただし、親がどうしても忙しい場合、キッチンで料理や洗い物をしながら、リビングテーブルでの子供の宿題を見守るなど、“ながら見守り”でもOKだという。
「その時、意識してほしいのは、目や耳を少しでも子供のほうに向けること。受験学年にも言えることですが、特に低学年のうちは子供に孤独を感じさせず、『見守られている、見られている』という安心感を与えることが大事です。私が多くの家庭のケースを見てきて痛感するのは、一部の子を除き、『狭い家に住む子は成績が伸びて、子供部屋があるような大きな家に住む子は成績が下がる』ということ。これは狭い家だと親の目が届きやすいからでしょう」