「被害者は日本の方である」と産経社説

3月4日付の産経新聞の社説(主張)は「韓国大統領の演説 具体策なき言葉は無用だ」との見出しを掲げてこう訴える。

「対日融和姿勢を示したとみなすのは早計だ。演説には関係改善に向けて韓国側がどのように行動するかという解決策の提示がなかった。行動を伴わなければ期待することは難しい」

具体的な解決策を示してこそ、対日融和と言える。いまの最悪の日韓関係を作ったのは韓国だ。どう考えても韓国政府が具体策を提示してくるべきである。

産経社説も「はっきりさせておきたいのは、両国関係を国交正常化以来最悪の状況にしたのは、ひとえに韓国側に責任があるという点だ」と強調している。

産経社説は「韓国側の補償要求は1965年の国交正常化の際の日韓請求権協定に反している。補償要求も日韓合意をほごにしたのも韓国側の国際法違反である。そのうえ韓国側は史実をねじまげて、慰安婦が性奴隷で、徴用工は過酷な強制労働だったという虚偽の宣伝で日本を攻撃している」と指摘し、「被害者は日本の方である」と訴える。韓国が加害者で、日本は被害者なのだ。

文在寅大統領はバイデン政権にゴマをすりたい

産経社説は書く。

「複数の韓国紙は、バイデン米政権が日米韓3カ国の連携を重視していることが文氏の今回の演説に影響したと分析している。米国向けのアピールにすぎないのか」
「両国関係改善の希望を口にしながら、韓国側がこじらせた問題を解決する具体策をなんら提示しないのは文氏の常套手段である。狡猾と言っていい」

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文在寅氏は「日米韓の連携重視」を強く求めるアメリカにいい顔をしたいのだ。バイデン政権が背を向ければ、念願の南北融和は泡と消える。だからこそ、新年の記者会見で態度を軟化させ、徴用工訴訟と慰安婦問題に言及してアメリカを納得させようとしたのだ。バイデン政権にゴマをすりたい。これが文在寅氏の3つ目の打算である。

最後に産経社説は東京五輪に触れた文在寅演説に対し、こう主張する。

「臆面もない発言に違和感を覚える。スポーツの政治的中立を求める五輪憲章を読んだらどうか」

文在寅という大統領を的確に捉えた主張だ。そんな人物には大統領を辞めてもらうのが一番である。