緊急地震速報を聞いたらどう行動するか

では、緊急地震速報が出たら何をすればよいのでしょうか。緊急地震速報を見たり聞いたりしたら、ただちに大きな家具から離れ、頭を保護し丈夫な机の下などに隠れます。扉を開けて避難路を確保しますが、あわてて外へは飛び出してはいけません。

ガス台など火のそばにいる場合は、落ち着いて火の始末をします。一方、火元から離れている場合は、無理をして消火しようとせず、自分の身を守ることを優先します。速報が出てから実際に揺れるまでにできることは、非常に限られます。よって、ガスの元栓を閉めるよりも、自分の身を守ることを薦めているのです。

屋外を歩いている場合は、ブロックべいの倒壊や自動販売機の転倒に注意します。さらに、ビルから落下してくるガラス、壁、看板に注意し、ビルの近くからできるだけ離れるようにしましょう。

車の運転中であれば、後続車が緊急地震速報を聞いていないことを考慮し、急にはスピードを落とさないようにします。まずハザードランプを点灯しながら周囲の車に注意を促し、徐々にスピードを落とさなければなりません。

もし、大きな揺れを感じたら、急ハンドル・急ブレーキを避け道路の左側へ停止します。列車やバスの中では、つり革、手すりなどにしっかりとつかまるようにします。

パニックを起こさないために周囲の人への声掛けが大事

最後に、メンタルな課題を指摘しておきましょう。生涯に初めて出合うような大地震に遭遇すると、誰でも気が動転します。ここで冷静な気持ちに戻れるかどうかが、サバイバルではキーポイントになるのです。

鎌田浩毅『首都直下地震と南海トラフ』(MdN新書)

動揺すればするほど通常の判断力を失い、時にはパニックに陥ります。たとえば、緊急地震速報を聞いたあとに、たくさんの人があわてて出口や階段へ殺到する行動が懸念されています。心の動揺が災害を増幅する、と言っても過言ではないのです。

パニックを起こさないためには、周囲の人に声を掛けてみることが大切です。知らない人でもかまいません。話をすれば少し心が落ち着き、次に何をすべきかが見えるでしょう。緊急時のこうしたコミュニケーションが、2次災害を大きく減らすことにつながるのです。

東京都は防災ホームページの「帰宅困難者の行動心得10か条」の中で、「あわてず騒がず、状況確認」「声を掛け合い、助け合おう」の2項目を挙げています。私の経験からも、緊急時に人と言葉を交わすことは、動揺を防ぐためにとても効果があると思います。

緊急地震速報は、震源地と地震の揺れを感じる場所が遠ければ遠いほど、時間をかせぐことができます。つまり震源地が遠方の海域の場合、私たちが生活している陸域までかなりの距離があるので、速報を受けてから実際の大きな揺れが来るまでにいろいろな準備をすることができます。

しかし、もし震源が自分の真下の場合はそうはいきません。今、心配されている首都直下型の地震のような場合です。P波とS波はほぼ同時に来てしまい、緊急地震速報が出てから実際の揺れが来るまでの時間はきわめて短いでしょう。

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