「Go Toイベント」の効果が小さかった

2021年は1月段階で早くも緊急事態宣言に入ります。もし経済評論家だけで食べていかなければいけないとすれば、ビジネスモデルとしてウェビナーやオンラインサロン、動画配信といった別の方向に収益源を変えていかないとどうしようもない状況です。

そういったことは自分でやるとして、心配なのはイベント業界全体の未来です。このまま再びの緊急事態宣言でイベント機会が激減するとしたら、これからのイベントビジネスはいったいどうなってしまうのでしょうか。業界全体の経済的な影響について考察してみたいと思います。

最初に気づくことはGo Toの効果がイベント業界では小さいことです。旅行、飲食とならんで新型コロナによるイベント業界への打撃が深刻なことを想定して、イベントについてもGo Toイートと同規模の国家予算をつぎ込んだ、Go Toイベントキャンペーンが実施されました。

ぴあやローソンチケットなどを通じて購入する演劇や音楽イベントでGo To対象の公演はチケット価格がほぼ20%オフになるというお得な仕組みです。それがほとんど話題になっていない。Go Toイートでは錬金術のように食事をしてはポイントをためる消費者が現れたのですが、Go Toイベントではそのような盛り上がりを耳にしません。

「安いからたくさんイベントに行こう!」とはならない

その最大の理由は旅行や外食と違ってイベントは価格弾力性が大きくないことです。

旅行や外食でGo Toが機能した仕組みはこうです。国民の半数が新型コロナの影響で自粛する一方で、残りの半数が価格が安くなることに反応していつも以上に旅行や外食に出かけるようになりました。価格を政策的に下げることで新たな需要が創造されたのです。

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しかしイベントの場合はそうではなく、そのイベントに行きたい人は行くし、行かない人は行かない傾向があります。Jリーグの試合でもミュージカルでも市川海老蔵の公演でも、半数のファンは新型コロナの影響で行くのを自粛しますが、残り半数のファンが価格が下がったことで普段出かけるのとは違うイベントに行ってみるという新規需要は発生しにくいものです。