どっちの未来がベターなのか
都構想のデメリットに関する議論はどれも重箱の隅をつつくようなもの。再編コストに約270億円かかることが指摘されていますが、府・市合わせて約9兆円の予算を持つ大都市の積年の課題を解決するための改革だと思えば、僕は然るべき投資だと考えています。大阪府議会の自民党は一部賛成していますが、大阪市議会の自民党は反対しています。その理由は、本質的には自分たちの身分を守るためで、現在の中選挙区制の固定化した「落ちない選挙」から、受かるかどうかわからない大選挙区制に変わることを危惧しているというのが本音でしょう。
そもそも、都構想の「メリット」と「デメリット」を天秤にかけるという考え方から見直してほしいとも思っています。比較するべきは都構想が「可決された場合」と「否決された場合」で、どちらのほうが大阪の成長を促進するかということです。現体制にしろ都構想にしろ、制度にはどこかしら欠点があります。都構想のデメリットは大きく論じられて、府・市の二重行政の問題点は全く言及されないというのは、比較検討の仕方として違うのではないかと思うのです。都構想を実現した場合と現状のままの場合、どちらがより大阪の可能性を追求できるかという点に議論の焦点を合わせるべきではないでしょうか。
都構想が可決されたら、25年1月1日の移行に向けて、大阪都そして特別区が適切に運営していけるような土台をつくることが重要な課題になります。維新の会としては、まずは万博のある25年を目がけて力を注いでいくことになりますが、そこから先、中央集権から地方分権、東京一極集中から東西二極を旗印にしながら具体的にどのような政策を掲げるかは、そのときのリーダーが考えればいいと思っています。
東西二極を目指すためには与党ときちんと対峙できる野党が必要ですが、今の野党はとにかく自民党に反対すればよいという偏ったスタンスで、現実的な問題に対応できるようには見えず、とても政権を任せられる存在ではありません。僕自身はもう国会議員になるつもりはありませんが、きちんとした国政があってこそ東西二極は実現すると思っています。
今の自民党は、残念ながら特定の業界や団体の利益代弁者の側面があります。菅義偉首相はさまざまな分野で改革を推し進めていますが、これから強い抵抗勢力と闘うことになるでしょう。規制改革をどんどんやっていくには、特定の業界や団体とのしがらみが少なく偏りすぎた思想を持たない政党が必要ですが、大阪では大阪維新の会がそれを担っているわけです。特定の業界団体への補助金は全部打ち切って、その分のお金を子育て世代をはじめとした住民へのサービスに回すことで、きちんと自民党と対峙することができていますし、それは国政政党の日本維新の会としても目指すべき姿だと思います。