バイトダンスのTikTok売却益獲得が狙い
トランプ政権は中国とのデカップッリング(サプライチェーンの切り離し)を目ざし、最近、魔女狩りのように多くの中国のハイテク企業をエンティティリスト(輸出規制対象リスト)に入れた。しかし、TikTokだけはリストに載らず特別扱いを受けていた。
バイトダンスはまだ上場前の会社だが、未公開株取引で企業価値が1000億ドル(約10兆円)を超えると報じられている(※2)。トランプ大統領はバイトダンスの企業価値の獲得を狙って、特別扱いをしてきたのではないかと、筆者は考えている。異例な圧力をかけることで、米国企業に有利な条件で事業を譲渡させる。買収が成立すれば、トランプ大統領はバイトダンスが得る売却益のかなりの部分を米国財務省に収めさせることができる。
※編集部註:初出時、バイトダンスの企業価値を「1000億ドル(100兆円)」としていましたが、正しくは「1000億ドル(10兆円)」でした。確認不足でした。記事タイトルも訂正します。(10月26日21時30分追記)
TikTokの買収先は当初マイクロソフトだったと伝われたが、その後、オラクルになったと報道された。実はオラクル創業者のラリー・エリソン氏はトランプ氏への大口献金者で、同社CEOのサフラ・キャッツ氏も4年前にトランプ氏の政権移行チームを支援している。トランプ大統領は、売却先もコントロールしているのではないだろうか。
Facebookを脅かす存在は潰しておきたい
SNSのユーザー数は今年、全世界で38億人を突破した。ソーシャルメディアは、もはや人のコミニケーションツールとして欠かせなくなっている。そして、利用者数は成長を続けている。
SNSの世界では圧倒的に米国企業が強い。その中、Facebookは3つのSNSサービス(Facebook、WhatApp、Instagram)を全世界に展開している。これに対し、WeChatとTikTokという中国企業が追い上げている。特にTikTokの人気は絶好調だ。2018年の第1四半期では、TikTokはFacebook、Instagram、Youtubeのダウンロード数を抜いて世界1位の人気iOSアプリとなっていた。