「歴史の捉え方が新しい」KADOKAWA版
——続いてはKADOKAWA版です。2015年の刊行以来、4年連続で売り上げ第1位(※)だそうです。
※紀伊國屋書店チェーン「学習まんが日本の歴史」ジャンル 2016/1~2019/12
【馬屋原】KADOKAWA版は、学習まんがとして冒険作であり、野心作でしたね。まず、歴史観が非常に新しい。そして全巻の監修をされているのが、山本博文先生おひとりであるということ。その歴史観が反映されています。
——歴史観というと?
【馬屋原】時代はこういうふうに流れているんだよという歴史のとらえ方ですね。時代ごとの背景というものが非常にくわしく書かれています。小学館版もそうですが、シリーズとして通して読むと、やはりひとりの方が全体を監修されているメリットは大きいと思います。シリーズ全体として、詳しくていねいに描くところと、さらりとした解説で流すところのメリハリがハッキリしていますので、まんがで初めて歴史に触れる子どもたちにとっては非常に読みやすく、かつ学びにもつながりやすい内容になっています。
——まんがそのものはどうでしょうか。
【馬屋原】情報量が多く、読みものとしてもドラマとしても比較的読みやすいという特徴があります。巻ごとにまんが家さんは異なりますが、統一感があるのが大きなメリットですね。全体的な文字の量や、セリフとナレーションの配分、コマのサイズなどが全巻を通してかなり統一されているからではないでしょうか。また、資料ページの量は多くはありませんが、グラフや地図などはまんが内に盛り込まれており、まんがの中で説明しようという意識の表れを感じます。紙面の面積に対しての情報量はすごいですよ。中学受験レベルをはるかに超えて、大学受験に手が届くレベルです。
収納しやすいサイズが、現代の家庭にぴったり
——小学生には、少し難しいかもしれない?
【馬屋原】小学生でも、読むのが好きな子は十分に読めるでしょう。これを読んで吸収できるレベルの子であれば、読ませてあげたほうが将来的に役に立つというか、知見を広げてくれるはずです。また、大人が読んでもおもしろい。大人が読むと、小さい頃に教わった歴史とだいぶ変わっているので、今はこんな感じで教えているんだと知る新鮮味があるでしょうね。
——ソフトカバーで一回り小さい判型(四六判)も、KADOKAWA版が最初でした。
【馬屋原】サイズは非常に重要です。全巻セットの箱を買っても、カラーボックスの中に入ってしまうというコンパクト感。収納という意味でも、現代の家庭にうけるところではないかと思います。