キャバクラ上がりの風俗嬢はまったく稼げない

お笑いコンビ「ナインティナイン」の岡村隆史は4月30日深夜放送のラジオ番組『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)で、「コロナが終息したら絶対面白いことがある。美人さんがお嬢(風俗嬢)をやります。短時間でお金を稼がないと苦しいですから。今はお金を貯めて踏ん張りましょう」という発言をして、謝罪に追い込まれた。

この発言はモラル的には問題があるかもしれないが、結果的には彼の推察に近い状況が生まれているといっていい。事実、筆者は、コロナの感染拡大を機に風俗店の面接に訪れるキャバ嬢が目立ち始めたとの話をあちこちで耳にしている。

ちなみにコロナ禍の最中、風俗店が次から次へと新人を採用するのにはワケがある。

ひとつは人件費の心配がない点。伝統的に多くの風俗店は風俗嬢への給料を歩合制にしているため、客がゼロならギャラを渡す必要がないのだ(ただし、客のつかない「待機時」でも時給を出す店もあるため、例外はある)。

さらに新人を多くデビューさせればそのぶんだけ、店の集客力もアップする。要するに、キャバ嬢の流入は、風俗店オーナーにとってはいいことづくめなのだ。

かくして風俗業界に移籍を果たしたキャバ嬢たちだが、これで生活は安泰かというと必ずしもそうはならない。

コロナ禍ではキャバ嬢のみならず、生活に困った一般女性も風俗業界の門をたたくため、客の取り合いが起きるからだ。客足そのものが減っているにもかかわらず。

くわえて、キャバクラ上がりの風俗嬢は、客ウケが悪いという傾向もある。一般的に清純そうな女性を好む風俗客にとって、化粧や服装がケバい元キャバ嬢はニーズに合わないのだ。キャバ嬢だったことのプライドを引きずるあまり、中途半端なサービスをしがちな点も不人気の原因だろう。

結果、彼女たちは、まったく稼げないという現実にぶち当たる。

また、風俗店の新人ラッシュは、もともと風俗嬢だった女性にも減収という形で影響が及ぶ。

指名客を多少でも持っている風俗嬢は店が休業していても裏引き(店を通さず客と個人的に会うこと)で生活を維持することも可能だが、指名客のつかない風俗嬢は困窮まっしぐらだ。

風俗で稼げない女性たちが行き着く場所、援助交際

風俗業界でくすぶる、キャバクラからの転身組と稼げない風俗嬢。そんな彼女たちが最後に行き着く場所、それがパパ活であり援助交際だ。

ご存じない方のために説明しておくと、パパ活とは、男性と食事やデートをする見返りに金銭を求める行為を指す。

「パパ活」の定義は広く、食事だけの関係から疑似的な同棲状態まで幅広いが、性行為に応じるパパ活女性も珍しくないため、本稿ではパパ活を援助交際に含めて扱うことにする。

援助交際に流れていく風俗嬢は相当な覚悟を抱いているはずだ。風俗店勤務なら危ない客が来てもスタッフが何かしら守ってくれるが、個人で行う援助交際の場合、そういった庇護はいっさい得られないからだ。

事実、援助交際では客とのトラブルはつきもので、ときどき報道されるように、最悪、客に殺害されてしまうケースも決して珍しいことではない。

もともとそういった事態を避けるべく、風俗嬢という“安パイ”を選択した彼女たちだが、ロクに生活費を稼げない日々が続くとあっては、リスクもやむなしといったことなのだろう。