日本経済は戦後最大の危機に直面している
20年4月7日夜の会見で安倍晋三首相は「日本経済は戦後最大の危機に直面している」と述べた。さらに政府は緊急事態宣言に合わせて「史上最大となる108兆円の緊急経済対策」を行うとしたが、新型コロナや緊急事態宣言が経済活動に与える影響は計り知れない。リーマンショックや東日本大震災時を超える、未曾有の事態に突入することになる。
政府の「緊急事態宣言」に先立つ20年4月6日、東京都の小池百合子知事が行った会見では、教育施設などのほか、ゲームセンターやカラオケボックス、パチンコ、映画館などの娯楽施設、クラブやバーなどのナイトタイムエコノミー関連施設、ショッピングモールや百貨店など小売施設が休業要請対象として挙げられた。要請を押し切って開店する店舗はわずかと見られ、対象となる業界の業績悪化は待ったなしの状況だ。
「社会機能を維持するために必要な職種を除きオフィスでの仕事は原則自宅で行うように」との方針も示された緊急事態宣言は、7都府県が対象とはいえ、ゴールデンウイーク明けの20年5月6日まで続く。新型コロナの蔓延状況によってはさらに継続する可能性もある。
経済に影響を与える「コロナショック」はどこまで拡大するのか。帝国データバンクによると、新型コロナ関連倒産37件のうち、飲食関連が12件、観光関連が16件を占める。
「20年3月末からの自粛要請で春の歓送迎会などの予約はすべて取り消し。来客もまばらです。せめてもの売り上げにつなげようと普段やっていないテイクアウトメニューを設けて損失を補っていました。しかし休業要請となれば、これさえできません」
都内のある居酒屋店主はこう言って肩を落とした。小池都知事の発表で飲食店は生活インフラと見なされたが、居酒屋は休業や営業の短縮を求められた。20年4月上旬の時点で倒産件数が増えている飲食業だが、もとより19年10月の消費増税で店内飲食は10%課税となっていたことも苦境の背景となっている。政府は補償の手厚さをアピールするが、緊急事態宣言期間を乗り切れる企業ばかりではないだろう。この点、休業要請が行われる娯楽施設も同様だ。すでに「感染クラスター」として名指しされたライブハウスはもちろん、新作映画の公開を遅らせ過去作の上映で集客を図ってきた映画館なども苦境に立たされている。
小池都知事は、休業や営業時間の短縮に協力した中小企業などに感染拡大防止協力金の構築を検討しているというが、打撃をカバーできる規模になるか、都の施策が待たれる。