電子書籍にもメリットがある

本は紙で読むのが一番という方もいらっしゃるかと思いますが、電子書籍にもメリットがあると思います。まず、たくさんの冊数を持ち歩けること。私はデバイスに2000冊以上をダウンロードして持ち歩いていますが、紙の本ではこれはできませんよね。それに、体への負担が軽い。クリックやスライドでページをめくれるので楽ですし、目が疲れてきたら字を大きくすることもできます。また、きれいな状態で読めるのも意外な利点。大正時代くらい古い紙の本になると、触るだけでかゆくなる場合もありますからね(笑)。

作家 山下泰平氏

著作権がまだ切れていない作品は購入することにはなりますが、それでも電子書籍で読むメリットはあります。電子書籍化されるということは、それだけで面白い本である可能性が高く、“はずれ”を引く可能性が低いからです。

私はよく頭に浮かんだ適当な単語で検索をかけて、ヒットした作品を読み漁ったりしています。今の電子書店はリコメンド機能が充実していますが、関連するものばかり読んでいてもなんだか飽きてしまう。だから、私は偶然や他人の意思で決めてしまう方法が好きなんですよね。

この方法でアマゾンのKindle本などを検索すると、出版社から出されていない、いわゆる自費出版の電子書籍も見つかります。まだ人が見つけていない宝の原石が埋まっているかと思うと、なんだかワクワクしてしまうのは私だけでしょうか。

単に時代の流れで売れなくなったからということ以外に、利害関係の都合で発行ができなくなったなど、紙の本が絶版になる理由はさまざま。電子書籍は、そんな埋もれていった宝を発掘できる夢のようなツールなのです。

自己研鑽のために読書をするのも素晴らしいことですが、単純に趣味としての側面もあることを忘れてはいけないと思います。

私は前述のように、10年以上本の世界にどっぷり浸り、毎日たくさんの本を読んでいますが、本で人生が変わったことはありません(笑)。それくらいの気楽さで読書をしてみるのも、いいのではないでしょうか。

▼こんなにあった! 電子書籍で読めるレア本・絶版本を探す方法

1. 「国立国会図書館デジタルコレクション」を利用する

「国立国会図書館デジタルコレクション」では、同館が保有するデジタル資料の本文画像を閲覧することができます。著作権保護期間が満了した作品や、著作権者の許諾を得た作品であれば、図書館に赴くことなく、パソコンやタブレットで読書が可能。会員登録も必要ないため、とても気軽に古書を楽しめます。

2. 偶発的に思い浮かんだ単語で検索する

電子書籍サイトの検索窓に、思いついた適当な単語を入れて検索してみます。たとえば、「デジタルコレクション」で「絶食」と検索すると、『生命の洗濯』という作品がヒットします。これは犯罪者がキリスト教徒になって書いた手記なのですが、そういった通常は手に取らないような作品と出会えるのがこの方法の魅力です。


3. Amazonで利用する「高い順」で検索する

Amazonで適当なジャンル名で本を検索し、「価格の高い順」に並べ替えると、上位には数十万円もする高価な本が並ぶことも。そうしたプレミアがついた本は、絶版本やレア本である可能性大。タイトルを控え、ほかの電子書籍サイトで扱われていないか探してみましょう。どういった本がプレミア化するのかを知れるのも魅力です。


4. 電子書籍ストアBookLive!を活用する

電子書籍販売サイトBookLive!でも、入手が難しい書籍が電子化されていることがあります。「絶版」で検索すると本の紹介文にその旨が書かれている書籍が見つかりますし、サイト内を探索すると平凡社の「東洋文庫」シリーズなど、他の電子書籍サイトでは販売されていないレアものに出合えることもあります。


5. 「日本の古本屋」で探す

東京都古書籍商業協同組合が運営している「日本の古本屋」というサイトは、全国の古書店に置いてある古本を書名、著者名、出版社、刊行年、関連ワードなどから検索できるサービスです。ここで見つかる古本の多くは絶版本。このサイトでは紙の古本の購入しかできませんが、電子化されていれば読むことができます。

6. 青空文庫を利用する

著作権の切れた作品を無料で読めるサービスとして有名な「青空文庫」。今も著作権が満了した作品の電子化作業がボランティアの手によって進められていて、2019年8月現在で約1万5000以上の作品が閲覧できるようになっています。テキスト形式ならデータが軽いので、多くの作品をダウンロードできるのがメリットです。