「エピソード」から見えてくる顧客の真実

図表5を見てください。左側がある白物家電のNPSです。住宅も含めた耐久消費財はほとんど例外なく買ったあとNPSが徐々に下がっていきます。企業にとっては、一度買ってもらったら故障でもしない限り、買い替え時まで顧客との接点はありません。一方でサブスクリプションサービスの場合は時間が経ってもほぼ横ばい、もしくは逆に上がっていくようなかたちになります。特に、NPSが突出して高い「ロイヤルティリーダー」企業と呼んでいる高いNPSスコアを維持している企業は、ユーザーが利用体験を積み重ねるにしたがってNPSが上がっていっています。サブスクリプションの場合は、いつでも解約できるので、批判者の方は自然と抜けていきますが、NPSを非常に高く維持するためにはそのぶん推奨者を増やさなくてはなりません。

では、どうやったら推奨者を増やすことができるのか。ここでキーワードになるのが、「顧客エピソード」です。NPSを取るとき、ほとんどの場合は、ブランドやサービスを総合的に評価してもらうか、コールセンターなどの顧客との最終的な接点での評価になります。それに対して「エピソード」は、顧客ニーズが生じてから充足されるまでの一連の顧客体験のことです。具体的に見ていきましょう。