今回、ベイン・アンド・カンパニーでは、当社が開発したネット・プロモーター・スコア(NPS)という指標を使って、サブスクリプションビジネスを利用している消費者の関心や行動が従来ビジネスの消費者とどのように違うのか、明らかにしました。
ご存じの方もおられると思いますが、NPSとは顧客ロイヤルティの最も信頼できる指標としてグローバルに使われているものです。「当社のことをご家族やご友人に薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問に対して、「10点:(推奨する)可能性が非常に高い」から「0点:非常に低い」までのスケールで答えていただきます。10点、9点を「推奨者」、0点~6点以下を「批判者」とし、全回答者における推奨者の割合から、批判者の割合を引いたものがNPSのスコアです。ちなみに、7点、8点は「中立者」と呼ばれます。
従来の顧客満足度調査では「あなたは満足しましたか」というかたちで、消費者自身の経験を聞きますが、NPSでは「家族や知人に薦めますか」と聞きます。つまり、自分の経験はどうだったか、ということからもう一歩踏み込んで「親しいあの人に薦めても大丈夫だろうか」と考えていただくことになります。これはまた、「自分が満足したか」という過去の経験ではなく「薦める可能性」という未来のことを考えてもらうことでもあります。こうしたことから、NPSは単純な顧客満足度調査よりも、消費者の将来の行動をより高い精度で予測することが可能なのです。
実際、批判者と推奨者の生涯価値は1.5倍から3倍もの開きが出ることがわかっています。いかに批判者を減らして推奨者を増やせるかということは、サブスクリプションビジネスにおいても重要な課題になってくるでしょう。
離反率や口コミにどれだけ差があるか
今回の調査で対象としたのは、Netflixやhuluのようなコンテンツ配信、マネーフォワードやZaimのようなウェブ経由で機能を提供するサービス、そして、オイシックスやパルシステムなどの生鮮配送サービスです。これらのユーザーをNPSのサーベイで推奨者と批判者に分け、離反率や口コミにどれだけ差があるかというのを見たものが次の図です。