もっと「当たり前」になるには

ただ、筆者はスマートウォッチがファッションアイテムとして確立されるには、1つ課題があると考えている。

そもそも時計が好きな人はいくつかの時計を持っていて、その日の気分やコーディネートによって着ける時計を変える。スマートウォッチの場合、その「変える」というアクションが苦い体験につながるのだ。それぞれのスマートウォッチで管理するアプリやプラットフォームが違うから、こうした不具合が起こる。

たとえばアップルウォッチからアンドロイドウェア(Android Wear)に変えると、スマホを乗り換えるのと同じで、いちいち通知の設定を見直さなければいけない。ヘルスケア系のライフログも蓄積される場所が変わるので、データの移管性がなくなってしまう。だからバンドを変えることはできても、スマートウォッチ本体を気軽に変えることは難しい。

今後、プラットフォームやアプリがさまざまなスマートウォッチと連携または統合されていけば、本来の意味でファッションとして楽しめる可能性は高まる。

スマートウォッチをデジタルと捉える考えのままでは、状況はなにも変わらない。バイアスがなくなり、その使い方や課題点と向き合えたとき、真に「装い」として当たり前のアイテムとなるだろう。

土屋 亘
ITガジェットジャーナリスト
1991年生まれ。法政大学デザイン工学学士。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズム課程修了。百貨店勤務。デジタル部門所属。スマートスピーカー、スマートウォッチ、VRをはじめとした最新ガジェットをそれぞれ複数台所有。最新のデジタルサブスクリプションサービスを駆使して、デジタルが生活に溶け込むライフスタイルを研究中。
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