現在、東京都内のアルバイトの最低時給は985円。高校生ならば、週に3日、1日5時間働いても月に稼げるのは6万円前後だろう。だが、浅井さんは同じ1カ月でその10倍ほどを稼ぎ出しているのだ。

「今の仕事は天職。地下アイドル時代からは考えられないほど撮影会は楽しいし、稼げます」

そんな浅井さんが現在まで撮影会で稼いだ額は300万円だ。

「そのお金は1円も手をつけずに貯金しています。毎回、手渡しでギャラを受け取るのですが、机の上に積み上げてます。高くなるたびに札束を見ながらニヤニヤしちゃいます(笑)」

こうした撮影会モデルの時給は2000~5000円だというが、女の子の予約の埋まり具合によって時給は大きく変動するのだという。

さらにこうした撮影スタジオ以外の場でも、浅井さんは収入を得ている。

「“リク撮”で月10万円くらいはもらいます。これはリクエスト撮影会の略で、スタジオの撮影会に来る常連カメラマンから『野外で撮りたい』と頼まれたら、個別に撮影に応じます」

個別での交渉となるため、額はスタジオで撮るよりも高くなるのだという。

そんな浅井さんは今春、高校を卒業。4月からは都内の有名私大文学部への進学が決まっている。

「撮影会アイドルのバイトは大学に入ってからももちろん続けます。クラスにはファミレスとかでバイトしてる子もいますが、『そんなに稼げない仕事して、大丈夫?』って思っちゃいます」

なぜ、いま個人撮影会にファンは集まるのだろうか。都内の28歳男性会社員は撮影会に通い続ける理由を「けなげに頑張る姿を見て応援したくなった」と話す。ただ、取材を続けると「付き合えるなら付き合いたい」と本音も漏らした。業界のある人物は「女の子によってはお金次第で風俗まがいのことをしていますよ」と打ち明ける。

高校3年生にしてフリーランスとして仕事を得ている彼女。事務所や撮影会のスタッフがいないリク撮には当然リスクも伴う。「親よりも稼いでいる」という彼女に、過熱するアイドルブームが孕む危険性が垣間見えた。

(撮影=鈴木俊之)
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