「もっと教えてください」は二流
部下はといえば、上司の事細かな指示を一生懸命聞いて、「もっと教えてください」と上司の指導に従って仕事をこなすのは二流の部下だ。こんな部下は一流の上司からすれば「物足りない」が、二流の上司には“かわいい部下”に見える。
「自分の言うことを何の疑問もなく聞き入れて、自分の手足のように動くのだからかわいくないわけがない」
その点、一流の部下は日ごろからよく勉強をしているので、上司が指示を出す前に課題に取り組み、問題の本質まで分析して解決策を考えている。だから、一流の部下は上司が指示を出すまでもなく、自分の考えで仕事を進める。あるいは「課長から提案していただきましたが、私なりに考えてみて、こちらの方法のほうがいいと思いました。これでやってもいいですか」と、自分のアイデアをぶつけてくるものだ。表面的には「生意気な部下」と見えるだろう。
反対に、自分の指示に従って頑張っている部下を頼もしく思ったら、それは自分が二流の部下をかわいがっている証拠かもしれないのだ。二流の上司が二流の部下をかわいがるうちに会社そのものがおかしくなると酒巻氏は言う。
「自分の言うことに従順な部下は自分より能力の劣っている者です。そういう部下の能力は、だいたい自分の能力の7掛け。たとえば経営者でそれが2代続けば0.7×0.7で3代目は初代の半分以下の能力しか持たない人になってしまうのです」
人材がどんどん小粒になるのでイノベーションが起きず、会社の競争力も失われる。それを避けるためにも「生意気」と思われるぐらい真に優れた人材に目を向けたいものだ。
▼一流:違うやり方でやっていいですか?
自分のやり方を提案
上司から指示を受ける前に、自分なりに課題を分析し、解決までのプロセスを考えている。上司の指示より自分が考えたやり方のほうが効果的と判断したら、「このやり方を試してもいいでしょうか」と提案する。
▼二流:もっと教えてください
完璧に指示の内容を把握
上司に細かなところまで指示を仰ぎ、言われたとおりに完璧にこなそうとする。自分の頭で考えないから途中で行き詰まることも多い。だから「仕事のやり方をもっと教えてください」とやたらと、上司にお願いするのが悪い癖。