「労働生産性」が高い企業は従業員の報酬・給与も高い
また佐伯氏は「資産回転率」の考え方について「『資産回転率』を構成する売上高は、企業の『運動能力』、総資産は企業の『身体の大きさ』だとイメージするとわかりやすい。どれくらいの大きさの身体(企業の総資産)からこの運動能力(売上高)が発揮されているかという視点で見る」という。この視点でヤフーの業績を分析すると、ヤフーの売上高は総資産額の約半分、これは売り上げにつながる投資ができていないか、成長途上の投資先が多いと分析できる。
給与にかかわる収益性は営業利益と純利益に注目する。営業利益は事業活動にかかわるすべての費用を引いた儲けを表し、純利益は会社が1年間で得た最終的な利益のこと。売上高に占める利益の割合をそれぞれ営業利益率、純利益率と呼ぶが、その利益率の数値の動きの傾向を見ると収益性が高まっているのか、落ちているのかがわかる。
また、従業員1人当たりが生み出す成果が大きい会社は、従業員への報酬、給与も高い。それを示す指標が「労働生産性」だ。一般的に労働生産性は「付加価値÷従業員数」で算出するが、決算書から付加価値を特定することは難しい。そこで、佐伯教授は簡便な計算法として付加価値の代わりに「(営業利益+人件費)÷従業員数」を用いることで暫定的な給与(年収)額を推定できるという。これについては、日本の代表的な企業の算出結果をまとめたので参照してみてほしい。