新人や外国人という「多様性」をどう受け入れるか
グローバル人材の採用支援事業を行うフォースバレー・コンシェルジュが企業に聞いた入社後3年の外国人の離職率は5~100%と大きく企業によって開きがあった。
外国人は日本企業のどういうところに不満を持っているのか。同社に相談にくる外国人社員の代表的な声は次のようなものだ。
・つまらない仕事しか与えられない
・評価基準が不透明でまともな説明がない
・外国人である自分はいろいろな面で不利である
・本音で相談できる相手がいない
・どうすればマネージャーになれるかまったくわからない
こうした声の背景には日本の雇用慣行と外国人の職業観の違いがある。長期雇用を前提とする日本企業では年功的運用で昇進が遅く、新卒採用後は育成を目的にさまざまな仕事を経験する「下積み」期間がある。製造業の中には事務・技術職も転勤による工場勤務を通じてじっくりとスキルを磨いていく経験も求められる。
▼新人社員と外国人社員に共通すること
日本人はそのことを当たり前のことのように受け入れている。だが、日本以外の国では職務主義に代表されるように採用では専門性が重視され、処遇では実力主義を基調としている。そうした環境で育った外国人にとっては理由もなく配属先を決められること、専門性と直結しない仕事をすることに対する説明がなければ納得しない人も少なくない。
キャリアに対する考え方も異なる。長期雇用の日本と違い、いろいろな会社を渡り歩いてキャリアを築いていくことが一般的な外国社会では平均勤続年数も短い。
そのため日本企業に入社しても先行きが見通せないためにカルチャーショックを受けて辞めていく外国人社員も少なくない。
外国人を採用し、定着してもらうには入社前にその企業独自の働き方やキャリアパスの仕組みなどについて丁寧に説明し、納得してもらうことが大事だろう。
だが、それでも外国人が定着しないとしたら、企業の人事の仕組みやキャリアパスのあり方も見直していくべきだろう。それが多様性を取り込んで成長していくことにつながる。
日本企業と相撲界。新人や外国人という多様性を受け入れて互いに成長し、発展していくための課題は山積みだ。