50万円以下の罰金が科せられるだけ
ちなみにドローン規制法は警察官、海上保安官、皇宮護衛官のみに撃墜権限を付与しており、自衛隊には捕獲・撃墜する権限すらない。自衛隊法95条に基づく“武器等の防護のための武器の使用”により、自衛隊の装備を守る名目で撃墜は可能という見解もあるが、これも難しい。撃ち落とす以外ほかに手段がないことなど、発動には厳しい前提条件があるからだ
一方、航空法は滑走路周辺や人口密集地などでは許可のない飛行を禁止している。しかしそれも50万円以下の罰金が科せられるだけで、工作員が気にするとは思えない。
防衛省は、もし不自然なドローンが自衛隊関連施設に接近した場合「施設管理権で対応する」としている。ただ、これは家の玄関に「セールスお断り」とシールを貼る程度のもので、基地周辺のドローンを撃墜・破壊できるものではない。
また、防衛省は「小型ドローンを迎撃することを目的とした特定の装備品はない」とも話しており、電子妨害などで撃墜する「ドローンディフェンダー」のような専用装備を所有していないことが確認された。
仮に有事だと政府に認定され、ドローンへの攻撃が許可されたとしても、具体的に対応できる手立てがないのだ。自動小銃ではあまりにも目標が小さいためにドローンを撃ち落とすことは不可能に近い。対空ミサイルではドローンがレーダーに映るのか不明なうえ、費用対効果の問題がある。そもそもドローン攻撃を想定した訓練も皆無である。