ホワイトだと錯覚、そのカラクリは?

キラキラ系ブラックの多くは、「職務・役割給」の割合が大きく、成果給比率が高いので、成果を出すか上のポストに就かない限り給与が上がることはない。

それだけではない。梅崎教授は大学生や若手社会人には、30歳以降のキャリアパスが見えにくいと指摘する。

「例えば、有名小売業では入社後、店舗に配属され、がむしゃらに長時間働いて評価されれば2~3年後には店長に昇格します。そこから一生懸命仕事に身を捧げたとしても、さらに上のポストのエリアマネジャーに就けるのはごくわずか。30歳になる頃には行き詰まってしまう人が多く、辞めて転職するのを迫られるのです。言い換えると、辞めるから高賃金の人しか残らず、それゆえ全体が高賃金に見えてしまう」(同)

一方、キラキラ系ブラックより生涯所得が多いのが地味ホワイトだ。入社時は大手ホワイトと比べて給与水準は2割程度低いが、定期昇給があるので時間軸で見ると徐々に大手ホワイトに迫っていく。

「地味ホワイトは、地味で目立たないので学生や転職志望者には知られていないが、部品や特定の分野で国内シェア90%を占めるようなすごく儲かっている企業もある。競争にさらされず、残業も少ないゆったりとした風土であることが多く、辞める人も少ない」(同)

地味ホワイトとしては、経産省が選定する特定分野で高いシェアを誇る「グローバルニッチトップ企業100選」などの企業が1つの参考になる。