大型のM&Aで失敗は一つもない
一方で、ソフトバンクが保有する上場株式の含み益は16兆円近い。十分帳尻は合わせているとも言え、判断が難しい。
ただ言えることは、孫社長が主導する大型のM&Aで、ここまではっきり失敗したと言えるものは一つもないということ。失敗かと思われたスプリントですら、現在は黒字化し、安定的なキャッシュフローを狙えるところまできた。
孫社長は時代の大きな転換期、言うなればパラダイムシフトを見極め、そのキープレイヤーとなる会社を買ってきた。孫社長自身の先見性がソフトバンクの最大の武器であり、また後継者問題を含めた最大の不安要素とも言えるだろう。
BNPパリバ証券チーフ クレジットアナリスト
慶應義塾大学卒業。野村総合研究所、J.P.モルガン証券等を経て2010年、BNPパリバ証券投資調査本部長、チーフクレジットアナリスト。