年間所得が高くなるごとに喫煙率は低くなる

厚生労働省の国民健康・栄養調査(2010年)は、世帯の年間所得と体形および主要な生活習慣の状況について調べられた初めての調査でした。「命はお金で買えるか」、「お金持ちほど長生きなのか」という健康格差のテーマについて正面から取り組むものです。

これによれば、世帯の年間収入が「200万円未満」「600万円未満」「600万円以上」の場合を比べると、世帯の年間所得が上がるにつれて男女共に喫煙率が減少する結果となっています(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020qbb-att/2r98520000021c30.pdf)。

どうやら所得と喫煙率の相関関係はあると言えそうです。

▼自制心がない人は何も手に入れられない

ただ、前出の「健康社会格差」の報告書がまとめた「所得が低い→相対的剥奪感→慢性的なストレス→喫煙習慣を改められない」という因果関係の仮説は、そのままうのみにはできません。「所得が低いことを喫煙率の高さの原因」と捉えている点にいささか疑問を感じます。相関関係があるとは言えますが、因果関係があるとまで言えるかどうかはわかりません。

本連載で以前、「高学歴」と「高収入」は擬似相関の関係にあって、その2つの要因とは異なる第3の要因である「自制心」が働くことが、「高学歴」にも「高収入」にもつながるという内容の原稿を書きました。(堕ちた“番長”にも読ませたい「本物の富裕層はマシュマロを2個食べる」http://president.jp/articles/-/17376

簡単におさらいしましょう。