4年前の読書体験が立体的に再現される

マインドマップは発想を広げるだけでなく、講義の記録や本の要約にも活用できます。箇条書きでまとめたメモはわかりやすいのですが、自分の感想や印象が盛り込まれていないため、情報が脳を素通りしてしまいます。だから記憶にも残らないのです。

マインドマップを使って記録しておくと、マップを見返すことで自分の思考の流れを追体験できます。講義や読書で重要なことは「相手がなにを言いたいのか」よりも「自分がなにを考えたか」です。そのとき自分がなにを感じて、なにを考えたのか。それが思い出せれば、自然と相手の主張を連想することができます。本の要約であれば、マップを見返すだけで、読書体験が立体的に浮かび上がるのです。

図2は、私が『インテグラル理論入門』(甲田烈ほか共著)を読んだ際にかいたマインドマップです。うまく理解できないと思いますが、私が見返すと4年前に読了したときの思考がありありと再現されるのです。書き方のコツとしては、ブランチを「本の内容」や「講師の発言」と、「自分の感想」で分けておくと便利です。色を変えてもいいでしょう。

もちろん、身の回りのすべてをマインドマップに置き換えることはできません。マインドマップは個人的なもので、他者には伝わらないからです。「文章を書くのが得意だ」と思う人は、アイデアもそのまま文章で書き起こしてもいいでしょう。誰にでもそのまま送れます。しかしパソコンを前に思考が停止するようなことがあれば、パソコンから離れて、ノートを広げましょう。ノートのうえにすいすいとマインドマップをかくのは、とても効率的ですし、なにより楽しいと思います。

マインドマップをかくうえで「色彩」は重要な要素です。私たちは、視覚のとらえた様々な色を、脳のなかで整理することで物体を認識しています。つまり物体を認識するまえに、脳には色が飛び込んでいるわけです。あざやかな色彩は脳を直接刺激し、脳を活性化させます。だから「色を塗る」という作業には、集中力を増したり、心を落ち着かせたりする効果があるのです。

(図1)「クリップ」で箇条書きとマインドマップを比較(図2)マインドマップのお手本 甲田 烈ほか共著『インテグラル理論入門』を内山氏がまとめたもの(写真1)内山氏が愛用するスタビロ「point88」

1.マインドマップの書き方
(1)中心にセントラルイメージをかく
(2)中心からブランチを放射状に伸ばす
(3)ブランチに連想する単語や絵をのせる(ひとつのブランチにのせるものはひとつだけ)
(4)慣れてきたらのせる単語や絵について「なにが効果的か」を意識する
(5)目立たせたいところは色や絵、アイコンを使って強調する

2.「クリップ」で比較してみると……(図1参照)

3.マインドマップのお手本(図2参照)
甲田 烈ほか共著『インテグラル理論入門』を内山氏がまとめたもの
第三者はうまく理解できないが、かいた本人は一目で本の内容を思い出すことができるという。

4.できるだけカラフルに
内山氏が愛用するのはスタビロ「point88」(写真1)。

 
(構成=神田桂一 撮影=村上庄吾)
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