大学でのセクハラ被害件数もわからない。国立大学が法人化したこともあり、06年以降、懲戒処分数を文科省に報告する義務もなくなり、大学側の自主的公表に頼るしかない。公立、私立大学は公表すらしていない。

大学内でのセクハラは、実は氷山の一角だという大学関係者の指摘もある。言い換えれば、大学側のセクハラ対策・対応は不十分といっていい。

では、セクハラした教員が話し合いに応じなかったり、行為そのものを認めなかったらどうするか。

「他の教授なり、教授会、相談窓口などに被害を受けたことを申し立てる。それでも、組織として事を荒立てたくないといった対応ならば、裁判を起こすと宣言する。毅然とした態度で臨むべきです。内々に処理されないためにも“公”にすることが重要です」(谷澤弁護士)

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刑事、民事ともに争える「セクハラ訴訟」の相関関係

セクハラ行為を受けた被害者は、刑事、民事ともに争うことができる。行きすぎたセクハラ行為は、刑法上の犯罪、強制わいせつ罪(刑法176条)や強姦罪(刑法177条)などになる。ただ刑事で争う場合は親告罪となるので、被害者側が刑事告訴する必要があり、立証責任も負う。また民事の場合は、不法行為(民法709条)として、損害賠償を請求するのが一般的で、慰謝料の相場は100万円前後になる。

「まじめな先生は、教授室や研究室で女子学生と2人きりで会うことは絶対にありません。そんな状況になったときは、ドアを開けておく。学外で2人きりで会うこともない。もし、2人きりになってドアを閉じるような先生ならば注意すべきでしょう。親として、娘にきちんと教えておくことです」(同)

(ライヴ・アート=図版作成)