人生を大局的に見据え、蓄積とスキルアップをする
そう考えると、サラリーマンにとって一番大切なポイントは“蓄積とスキルアップ”だと思います。例えば5年間、同じ部署にいたら、その間に知識や人脈をどれだけ蓄積でき、ノウハウを磨けるかということです。
そうなるには、組織に属しながら特定の分野のプロフェッショナルになる必要があると思います。その1つの方法が、資格の取得。税理士とか建築士などです。会社にいると、経営環境や業種特性によって儲かっていると給料は増えますが、逆の場合もあります。しかし、資格があると、それを武器に転職もできます。
もう1つ、才覚を生かすというやり方があります。これは作家やミュージシャン、デザイナーなどですが、成功すれば大儲けという半面、売れなければ食べていけないというリスクもあります。
今後の日本を考えると、会社の業績が右肩上がりでいくことはむずかしいでしょう。だとすれば「いつ、その船から降りるのか」という判断が求められます。あるいは、国から脱出する戦略もあります。そこでは、自分の人生を大局的に見据えることが不可欠なのです。
いま30歳の人なら、残りのビジネス人生はおおよそ30~40年。重要なのは、その期間をどこにリースするかということです。日本の企業でもいいし、外資系もありえます。例えば、パナソニックの社員が、そこで蓄積した技術力を見込まれ、サムスンなどに年収何千万円で引き抜かれることもあります。その代わり、成果が出なければ1年で辞めさせられるかもしれません。
そこで、いますぐではないにしても、数年先、10年先に資格や免許あるいは才覚によって別の会社に行く。または独立し、フリーランスや起業、オーナーとして生きていくというビジョンも考えていいでしょう。どの戦略を選ぶかによって生き方は全然違うと考えてください。
いずれにしても、ある程度の豊かさを実感するには、そうした方向へ進むしかありません。そのためには、自分がプロとしてめざす分野は、好きで、得意で、人に喜ばれる仕事と決めるべきです。できればそれを、20代、30代で見つけられれば理想的だと思います。もちろん、40代、50代でも遅すぎることはありません。人は誰でも、文章を書くのが上手だとか、他人の話を聞くのがうまい、売り込みが得意とか、それぞれ違う才能を持っているのではないでしょうか。