[売上げ+商談÷2]が年間予算を上回る

数字のうえでは、たしかに、9月末時点で120%の目標達成率(半期10億円に対し、12億円)を実現しています。

しかし、半期決算のために手持ちの商談をすべて前倒しで消化してしまい、9月末時点で進行している商談がほとんどないとしたらどうでしょうか。

9月末売上げ……12億円
9月末商談………1億円

これでは、12月第3クオーターの決算、3月年次決算を乗り切ることができません。

M&Aという仕事は成約までに時間がかかり、売り案件を見つけるのに3カ月、相手を探すマッチングに3カ月、商談をしても契約にもち込むまでに3カ月がかかります。

つまり、上記のような状態では12月末の数字は絶望的、3月の決算で年次予算20億円を達成するのは困難であり、予算達成はおぼつかないといえます。

では、何をもってKPIとすればよいのか――。

たとえば、次のようなKPIをつくったら、どうでしょうか。

「[売上げ+商談÷2]の金額が年間予算をつねに上回っている」

このとき商談を2で割るのは、成約率を50%と仮定したからです。
具体的に3つのケースで見てみましょう。

▼ケース1

先の現状(9月末売上げ12億円、9月末商談1億円)を、このKPIに当てはめてみます。

9月末KPI=[売上げ12億円+商談1億円÷2]=12.5億円

これにより、商談を別途15億円つくらなければ年間達成はできないことがわかります。

商談をつくるのに、案件開発3カ月、マッチング3カ月で合計6カ月かかるため、12月末、3月末の業績達成はまったく不可能です。

▼ケース2

9月末の現状が、売上げ12億円、商談12億円だと、どうでしょうか。

9月末KPI=[売上げ12億円+商談12億円÷2]=18億円

10月以降の方針としては、商談を2億円つくればよいことがわかります。

つまり、2億円の商談をつくるための案件開発活動、マッチング活動のアクションプランをつくれば年間予算は達成できるというわけです。

▼ケース3

念のため、9月末の現状が、売上12億円、商談16億円を見てみましょう。

9月末のKPI=12億円+16億円÷2=20億円

年間予算を達成できる目処は、すでに立っています。したがって、10月以降の方針としては、以下が考えられます。

(1)今期はトラックレコードを追求して圧倒的な上方修正にもち込む。
(2)来期に備えて徹底した商談の仕込みを行い、来期ロケットスタートをきる。

以上見ていただいたとおり、「KPIの設定」は「プロセス管理」と同義です。