高学歴の人は独立・開業は難しい

就職活動は順調に進み、ヤマハ発動機に入社。しかし、仕事ができないことで悩むようになり、ノイローゼとなり、退職。わずか、9カ月の在籍だった。

その後は、リクルートでアルバイトをする。「仕事のおもしろさをはじめて味わった」が、正社員への転用試験で不合格となり、失意の退職。大阪にある、日本IBMの子会社に就職した。ここでも仕事が上手くいかない。うつとなり、自殺未遂をする。そして、退職。

「この頃になると、バレルね。もはや、立命館大卒なんて通用しない。中途採用試験で内定を得ることがなかなかできない。29歳で、4社目を受けようとしているわけだから。しかも、3社ともいずれも3年間も在籍していない。“こいつは使えない。問題がある”と見られるんだよね。30歳前で3~4社変わると、どこの大学を卒業していようとも、内定を得るのは苦労すると思います」

失業生活の後、東京へ。チラシを宅配する中小企業に入る。しかし、周囲をみると、大卒の社員は少ない。

「悲哀を感じたね。俺もこういう連中と同じなんだな、と……」

ここも、早々と退職。

30代になると、交流会やセミナーに盛んに参加するようになる。名刺を交換すると、「代表取締役」の人たちが意外と多い。しかも、聞いたこともない会社だった。

「こんな人たちでも、社長が務まるんだな、と思いました。社長といえば、大企業をイメージしていたから。零細企業に興味を持ち始めた頃だった。私の調査によると、中小零細企業の社長(創業者)を学歴別でいえば、1位が高卒、2位がバカ大学、3位が高専や専門学校、4位に有名大学。高学歴な人は、独立・開業することは難しいかもしれないね。プライドがあると、新規開拓で大きな結果を出すのはできないんじゃないかな。会社員が想像する以上に、厳しい世界だからね」