実家が連帯保証人で1億円の借金
自らも、転職経験などをもとに「無料職業相談業」で起業しようとした。だが、半年で破たんした。出版社でテープ起こしの仕事を請け負いつつ、次の人生を探った。
この出版社の倉庫で手にしたのが、中小企業コンサルタントの竹田陽一氏の本だった。ランチェスターの経営戦略を中小企業向けに解説することで知られていた。
バブル経済が崩壊したこの頃、1992年、さらなる人生の転機を迎える。福岡の実家が、他人の連帯保証をかぶり、1億円の借金をしていた。「当初は、息子である俺には関係ないと思っていたけど、そんな甘くはないんだね」。福岡に戻り、小さな広告代理店に転職。すでに、7社目の会社だった。
「実家を売却するなどしたけど、まだ、5000万円ぐらい残っていた。会社員では、返せない。どうすることもできない。悶々とした日々だったね」
友人に誘われ、セミナーに行くと、そこに講師として現れたのが、竹田陽一氏だった。中小零細企業の生き残りなどの話に感銘を受ける。竹田氏監修のビデオなどを購入し、独立に向けて、本格的な勉強をする。
その後、1995年に広告代理店を退職し、2度目の独立を試みる。竹田氏の教えを受け、ランチェスターの経営戦略を独自にアレンジした戦略が功を奏する。2年目には、この時点での借金1500万を完済する。だが、母親は自殺。
「独立は、学歴がない人やそれまでの会社員経験で上手くいかない人が逆転をするための1つの手段ではあると思います。だけど、何も知らない会社員が独立することは避けたほうがいいですね。コンサルやFCの会社など、カモる人はたくさんいるよ(苦笑)。独立して、人生破たんした人を数えきれないほどに見てきた。積極的には勧められないよ。最近は、リストラで辞めて、独立をせざるを得ない人が増えているけどね」