やなせと暢夫人の金銭感覚の違い

それを感じた1つのエピソードは、お二人が語ったお互いの金銭感覚の違いです。やなせ先生は学生時代から翌月の生活ができるぐらいのお金を必ず手元に残していた一方、暢さんは給料日にはお金が入るからと買い物をしていたという話を、私は先生と暢さんそれぞれから聞きました。

やなせ先生いわく、先生が堅実なのは「気が小さい」からで、「カミさんはオレと逆で、明日お金が入るとなると、今あるお金を全部使ってご馳走を買ってきたりする」とのこと。こうしたお互いの性格を理解し、違いも受け入れ、補い合っている夫婦だったのです。

やなせ夫妻の関係で思い出されるのは、お互いを尊重し合う姿です。私が入社したときには、先生は73歳、暢さんは74歳という高齢でしたから、あまり若い夫婦のようにデレデレした様子は見られません。それでもやっぱりお互いのことを尊重して、お互い仕事ややりたいことをそれぞれ自由にやりながら、それを相手に話して常に情報を共有している。会話をとてもよくしている夫婦だなと思いました。