ついに北上し始めた可能性
最近になって、事態はさらに展開した。
2025年3月17日に、沖縄本島より約100キロメートル北にある奄美群島の徳之島、そして4月28日には沖縄県の北約23キロに位置する与論島でそれぞれ1匹のセグロウリミバエのオスが罠にかかったのだ(*20、21)。
徳之島と与論島は奄美大島と沖縄本島の間に位置する。国の機関は、強い風が吹いて中国や台湾から飛んできた可能性があるとコメントしているが、沖縄本島の北部で繁殖したハエがこれらの島々に風に乗って飛んだ可能性も排除できない、と私は考える。もちろん、正確なことは今後、DNA解析の結果を待たなくてはならない。
徳之島と与論島の罠にかかったミバエは、現地の職員の調査と防除によって5月中旬くらいまでには収束したかに思えたが、関係者の期待はまたしても裏切られた。
5月28日に与論島で6匹、沖永良部島であわせて9匹のセグロウリミバエが新たに罠にかかったのである(*22)。専門家の経験上、これだけの数のミバエが罠にかかると果実にも被害があることもある。鹿児島県は同日に病害虫発生予察特殊報第1号を出し(*23)、現地は調査に追われている。
発生の勢いが止まらない…
これらのミバエがどこから飛んできたのは、今後の調査を待たなくてはならないが、近縁種であるミカンコミバエの過去の分散データから、沖縄本島の北部で発生しているミバエが風に飛んでやってきた可能性も否定できない(*18)。
沖縄産のゴーヤーやスイカなどが、本土の市場に出回る量に制限がかかるのは、いまはやむをえないことかもしれない。だが肝心なのはこれ以上、セグロウリミバエの分布拡大を阻止することだ。
国と沖縄県、鹿児島県、そして市町村、農協などの関係者は、ミバエの定着阻止に向けて日夜、懸命に働いておられる。そして那覇のハエ工場ではいまも数千万匹の不妊ハエをヘリコプターで空から撒く準備を着々と進めている。
ただ関係者の話によると、沖縄本島でのセグロウリミバエ発生の勢いは、残念ながらいまのところとどまる気配はないとのことだ。
