全国紙も報道し始めた
だがこの事実が周知されているのはほぼ沖縄県内のみで、一部のネットニュースを除けば全国的に大きな報道にはなっていない。2025年5月になって、ようやく朝日新聞デジタル版や日本経済新聞が報じた程度だ(*9、10、11)。
事態を受けて、農林水産省は4月14日に「セグロウリミバエの緊急防除」を決めた(*12)。緊急防除で何が起きるのか? 平たく言えば、沖縄本島すべての市町村で栽培したウリ類とナス類、熱帯果実の多くは、セグロウリミバエが付着していないことを確認する国の検査を受け、この害虫がついていないことを確認済みでなければ島外に持ち出せない。
つまり観光で沖縄本島に行っても、ゴーヤーなどを勝手に持ち帰ることができなくなったのだ。
緊急防除の実施期間は今年の終わりまでとされた。これは沖縄県の方々にとって大きな打撃で、夏場のビタミン補給に必須のウリ科作物の栽培を自粛させられた沖縄の方々は大変な思いで、この夏を過ごすことになる。12月までにミバエを駆除できなければ期間が延長される可能性もある(*9)。
勝手に持ち出すと取り返しのつかない事態に…
沖縄県による必死の防除と広報のおかげで、セグロウリミバエのことが県内ではよく周知されている。しかし、恐れるべきはこの情報を知らない人たちが、沖縄本島で栽培されたウリ類を贈答品やお土産として、飛行機で他の地域に持ち出してしまうことである。
知らずにミバエの寄生された果実を持ち出してしまうと、セグロウリミバエは、日本のどこにでも侵入できる。そうなればどこのウリ類産地でも、この虫が繁殖する可能性があり、果実を割るとなかからハエのウジが出てくる日常と、この日本で向き合わなくてはならなくなるだろう。
もちろん沖縄の港湾や空港には国の職員が寄生の恐れのあるウリ類等の持ち出しがないように昼夜、目を光らせている。しかし、輸送や配送手段が多様化した現代では、どのような形で農作物が移動するのか、完璧に追うことも難しいと聞く。
直近のニュースでは、郵便局やネット通販にも規制がかかっていることが報じられた(*13)。

