1匹残らず駆除する以外方法はない

では、根本的にどのような対策を講じればいいのだろうか? 沖縄から勝手にウリ類を持ち出さないことだけではなく、沖縄本島からセグロウリミバエを1匹残らず駆逐すればよい。

いったいどうやって?

いま国と沖縄県はウリ科野菜の栽培自粛を求めている。そしてセグロウリミバエの発見されたウリ類の圃場などでは、徹底的な果実の除去と農薬散布による駆除作戦を展開している。

さらに、5億円近い予算を計上し、近縁種であるウリミバエを誘引できるキュールアというフェロモン様物質の誘引剤と農薬を染み込ませた約4センチ四方の板「誘殺板(テックス板と呼ばれる)」約33万枚を仕掛ける駆除作戦を展開している(*9)

しかし、これだけで沖縄からミバエは駆逐できない。

キュールアは近縁種のウリミバエの誘引剤であって、セグロウリミバエにどれだけ強い誘引力があるのかは、実はわかっていない。しかも、かつて南西諸島で根絶に成功したウリミバエでは、キュールアのみで根絶させることはもちろん、増殖を抑えることすらできなかったのである(*14)

切り札は「不妊化法」

そこで登場するのが、切り札「不妊化法」だ。近縁種の特殊害虫であるウリミバエを根絶させた作戦のリバイバルである。

その原理はこうだ。まず根絶させる害虫を増やす。増やした害虫を放射線で照射し、不妊にする。不妊化したたくさんのハエをばら撒く。

すると不妊バエのオスは野外のメスと交尾する。交尾相手のいなくなった野外のメスは、受精卵を産むことがない。不妊虫の放飼を続ければ、やがてメスは交尾相手に巡り合えず、根絶に至る(*15)

かつて根絶に成功したウリミバエもウリ類、ナス類とマンゴーやパパヤなどの熱帯果樹の果実の大害虫であり、1919年に日本に侵入した外来種であった(*16)。沖縄県は国の支援を受け、1972年から特殊害虫ウリミバエの根絶作戦を始めた。