「見たことのないセグロウリミバエだ」
だが、昨年3月に見つかったセグロウリミバエは、名護市の罠だけではおさまらず、次々と近隣の罠でも捕まった。
4月25日に1匹、5月9日に4匹が名護市屋我地で、さらに22日には伊是名村でも1匹の成虫が罠につかまった。いずれも沖縄本島北部での出来事である。
私は昨年5月27日に沖縄に行き、罠に捕まったこの虫の標本を国家機関である那覇植物防疫所で見せてもらった。それは、確かにこれまで沖縄本島で見つかったことのないセグロウリミバエだった。
これだけの数の成虫が捕まるときは、メスがウリの果実に卵を産む可能性がある。そうなれば、幼虫が果肉をむさぼり食い、わらわらとウジが出てくるはずだ。
沖縄県は6月に害虫の発生を関係者に知らせる特殊報を出し、ミバエの発見を地域住民に知らせた(*1)。このニュースは、すぐに農業協同組合新聞と沖縄県内のメディアで周知された(*4、5、6)。
県と国の職員は、市町村の協力を得て、ハエの見つかった罠に近いウリ畑になる果実や、周辺の地面に捨てられた果実を徹底的に撤去した。そして、畑には農薬が撒かれた。この初動防除が功を奏したのだろう。7月までセグロウリミバエは罠にかからなかった。発生はおさまったのではないかと、関係者は期待した。
年を越えた春、幼虫が寄生した作物が次々見つかる
その期待は、無残にも打ち砕かれる。
8月に名護市の隣の今帰仁村で成虫が罠で見つかると、9月には観光名所である美ら海水族館のある本部町で、10月にはさらに北の大宜味村と東村で、そして11月には沖縄本島最北端に位置する世界自然遺産「やんばる」のある国頭村からもミバエは見つかった(*7)。
冬場は見つかるミバエの数は減ったが、冬が去り再び気温の上がった今年4月、沖縄本島中部のうるま市と北中城村で成虫が罠にかかった。5月19日時点でミバエの見つかった罠は50地点以上にのぼり、計1344匹ものセグロウリミバエが見つかっている(*8)。
そして沖縄本島北部の国頭村と大宜味村を除くすべての自治体市、および中部のうるま市、中城村のウリ類畑では、主に家庭菜園を中心に、幼虫に寄生されたゴーヤーやヘチマなどウリ類の果実がたくさん見つかった(*8)。
いまのところ、ウリ類のみしか被害が確認されていないのは幸いだが、海外でこの虫はナス類や、パッションフルーツやパパイヤ、ドラゴンフルーツなどの熱帯果樹への加害も報告されている(*2)。蔓延を許すとウリ類以外の果菜類にも成虫が産卵する可能性があるので要注意だ。
とくに今年の春以降、沖縄本島の北部と中部で罠にかかる成虫の数が著しく増え(*8)、3月以降には1回の調査で100匹以上の成虫が罠で見つかることもあり、関係者は強い危機感を抱いている。
