日本の野球界に天才が続出する理由

誰もが個性を発揮し、社会全体が“ちょっと変わった人”に対して寛容になれば、突出した才能も育ちやすくなります。

「天才が現れるためには、天才が育つ土壌を保持しておかなければならない。天才は、自由という雰囲気のなかでしか自由に呼吸できないのだ」

ミルは天才について、「ほかの誰よりもはるかに個性的である」と表現しています。これは私たちも納得がいきますね。野球の世界でも、王貞治の一本足打法やイチローの振り子打法、野茂のトルネード投法など、天才たちのフォームはあまりにも個性的です。

齋藤孝『座右の一行 ビジネスに効く「古典」の名言』(プレジデント社)
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日本の野球界に次々と天才が現れるのは、育つ土壌があるからです。ファンも様々なタイプの選手が出てくることを楽しみ、個性を応援する雰囲気があるからこそ、生まれ持った才能をさらにレベルアップしていけるのです。大谷翔平選手の二刀流も、野球文化の成熟と、個性を伸ばす環境あればこそです。

個性を潰すのではなく、お互いに伸ばし合っていくことができれば、多様な才能が溢れる社会になります。

皆さんの職場にも、周囲から「あの人、変わってるよね」と思われている人がいるかもしれません。その存在を排除しようとしたり、出る杭として叩いたりするのではなく、むしろその人の変わっている部分をできるだけ引き出すようにしてはいかがでしょうか。

それぞれが個性を発揮し、能力を育てていけば、会社や組織はきっと強くなるはずです。