アメリカの主流メディアはハリス候補を支持していたが…

選挙期間中、伝統ある主流メディアはおおむねハリス氏を支持し、トランプ氏に批判的報道をしていたが、ふたを開けてみればトランプ圧勝という結果だった。圧勝の最大の要因は、自動車産業の労働者や郊外の中産階級の人々が住むペンシルバニア州などブルーウォール(青の壁)と言われる民主党の牙城をトランプ氏が奪ったからだとの分析がなされている。

妊娠中絶問題で女性票にアピールしていたハリス氏が敗れたのは、インフレによる経済悪化に苦しむ中間層やそれ以下の人々、特に男性票にアピールできなかったからだとされる。不法難民の強制送還を公約していたトランプ氏は白人主義者のように見えていたが、この大統領選挙では人種問題以上に経済悪化の側面が大きかったようだ。逆にトランプ陣営はXをはじめとするSNS、ユーチューブ、ポッドキャストなどを有効活用し、民主党の地盤を奪っていった。2024年アメリカ大統領選挙の真の敗北者は、エスタブリッシュメント(支配階級)と化した既成メディア、オールドメディアではなかったか。

2020年の第一次トランプ政権誕生の前後からこうしたメディア状況が生まれ、アメリカのメディアと世論の分断現象はさらに顕著になった。ギャラップ社とナイト財団の「信頼、メディア、民主主義に関する調査」(2017年)によると、「アメリカ人はニュースメディアが米国の民主主義において果たすべき重要な役割を担っていると信じているが、その役割をうまく果たしていない。メディアに対するアメリカ人の主な懸念の一つは偏見であり、アメリカ人は1世代前よりも今日のニュースに偏見を感じる可能性がはるかに高い」と指摘している。