「静かに、目立たず、黙っていること」が求められた

修学旅行や文化祭、体育祭といった学校生活のハイライトは次々と中止になった。感染リスクを理由に、青春の思い出が作られるべきイベントが次々と削ぎ落され、代替となるような満足な策が提示されることもほとんどなかった。

さらに放課後や休日の外出も厳しく制限された。地域の内外から発せられた外出自粛要請により、周囲の目やSNSの目も厳しかった。旅行や友達との遠出は「自粛」を求められ、外で遊ぶ子どもたちは「非常識」として大人たちから冷ややかな目を向けられた。「不要不急」な外出も許されず、部屋の中でただじっと息をひそめて過ごすことが「模範的で良識的な若者の姿」とされたのだ。それに異を唱える者は、「お前は間接的な人殺しなのだ」と言わんばかりの非難が向けられることもあった。