これは「間違った善意」

今の時代、少しでも精神的に問題があれば診断を受け、薬によって治療するというのが当たり前になった。1錠の薬があらゆる精神的問題を解決してくれればいいのだが、それは考えが甘すぎる。皆が躍起になって診断名をもらおうとしているのは『精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)』の売れ行きを見てもわかる。

1950年代に出版されて以来改訂を重ねるハンドブックで、精神医学の診断を下す際にも使われる。退屈なタイトルのこの本がベストセラーだとは想像もつかないだろうが、実は最新版だけで9億クローネ[およそ130億円]の売り上げを誇る。