ハマチも、カンパチもわからない状況だった

少しずつ金融の仕事に失望を重ねていった掛札さんは、遂に退職を決意した。1997年、32歳のときだった。

「妻の実家が、この魚市場でね。義父が社長をやっていた。自分で一から商売を立ち上げる度胸はなかったけれど、俺には運よくこの市場があった。自分のやり方が正しいかどうか、ここで試してみたいって思ったんだよ」

金融機関を辞めた理由を掛札さんは、「逃げた」と表現する。しかし、逃げ込んだ先には、生き馬の目を抜くような世界が待っていた――。