話を展開させたいとき

*失言かも:「私なんて」

エピソード合戦をはじめる前に、まずは相手の話を受けとめるべき。話を奪われたように感じると、人はモヤモヤします。

相手のエピソードにかぶせる形で、「私なんて……」と、“さらに上回る”話をしようとする人がいます。モヤッとするしくみは先ほど紹介した「それこそ」と同じですが、「私のほうが上回る経験をした」感が色濃く出るため、よりタチが悪いかも。

「それこそ」と同じように、大事なのは、まず相手のエピソードを受けとめること。どうしても話したい類似エピソードが頭に浮かんだ場合は、相手の話をしっかり受けた後で、「実は私も……」と控えめに差し出すようにしましょう。

ちなみに、どんな話もいつの間にか自分の話へと持っていく人は、「会話泥棒」と呼ばれ、周りからよく思われません。少しでも思いあたるフシがある人は、「私なんて」や「それこそ」で“泥棒”していないか、自分の会話のクセを一度見直してみるといいかも。

〈言うならこっち〉
そうなんですね、実は私も○○

なじみのない会話のとき

*失言かも:「知らないです」

「大衆的なことには興味がない自分」……多様性社会ではちょっとカッコ悪いかも。人の趣味を尊重することで、相手からも尊重されます。

失言研究所(編集)、黒川伊保子(解説)『よかれと思って言ったのに 実は人をモヤッとさせる 失言図鑑』(サンクチュアリ出版)
失言研究所(編集)、黒川伊保子(解説)『よかれと思って言ったのに 実は人をモヤッとさせる 失言図鑑』(サンクチュアリ出版)

「知らない」ことがマウントになると考える人がいます。たとえば、ちょっとマイナーな芸能人同士が結婚したときにネット上で見かける、「誰?」というコメント。「私はあなたたちのことなんか知らない」とわざわざ述べることで相手をサゲる、という手法ですね。おめでたいことを素直に祝う、あるいは、知らない相手なら何も言わずにいればいいのに。

流行りのアイドルやミュージシャン、世界的なスポーツイベントなどの話題について「知らない」と表明することで、「大衆的なことには興味がない自分」を演出する……多様性時代の今、逆にイケてないかもしれません。

相手が振ってきた話題は、たとえ自分とまったく接点がない事柄であっても、知らないなりに会話を続けましょう。知らないことほど、「なんでそんなに好きなんだろう?」と興味がわきませんか?

〈言うならこっち〉
へー、どんなところがいいんですか?
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