「経験を買う」は投資である

お金の使い方には、「浪費」「消費」「投資」の3種類があります。

浪費は、自分で無駄だと感じるお金の使い方です。

例えば、衝動買いや過度なギャンブル、本当は参加したくない飲み会代などです。お金を使っていながら、支払ったお金に見合った価値を得られていないのが浪費です。

これは一番良くないお金の使い方と言えます。

消費は、生活するために必要な出費のことです。食べ物や水道光熱費、電車代など、日常生活で必要なことに使うお金です。お金を使うことで、それに見合った価値が得られているのが消費です。

そして投資は、使ったお金以上のリターンが得られるお金の使い方です。

投資には様々な考え方があり、その1つが「経験を買う」ことです。

ハイクラスのホテルに宿泊するのも、経験を買うことの1つです。例えば、ザ・リッツ・カールトンのような高級ホテルに宿泊し、サービスを実際に体験してみると、多くの気づきを得られます。

接遇の仕方をはじめ、ホテルの空間や食事の味・盛り付け、そして利用客の雰囲気や会話などを通じて、自分の感性を磨くことができます。その経験から得られた気づきを、自分のビジネスや生活に活かすことができます。

名前を呼ばれることに価値がある

私は仕事で年に数回、ザ・リッツ・カールトン東京に宿泊します。いつも到着して自分の車から降りると、「多保様、お帰りなさい」と名前を呼ばれます。

初めて宿泊した際に朝食会場で、「多保様、おはようございます」と名前を呼ばれたのには驚きました。

受付の女性
写真=iStock.com/b-bee
※写真はイメージです

名前を名乗っていないのに、なぜ名前が瞬時に出てきたのか……。私はこの経験から、名前を呼ばれることにすごく価値を感じました。そこで、私の歯科医院では、患者さんに名前を呼んで挨拶するように指導しています。

多保学『1億円かけて学んだ成功する人がやっていること』(日本実業出版社)
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歯科医師であってもまず「こんにちは」から入るのではなく、「○○さん、こんにちは」と挨拶することで、相手の印象はとても良くなります。

私がリッツ・カールトンで得たもう1つの気づきは「香り」です。

リッツ・カールトンに行くと、必ずいい香りがします。お客様は「これはリッツの香りだ!」となるわけです。一流のホテルや企業では自身のブランディングの香りをアロマメーカーにつくってもらっています。

このような香りのブランディングは、航空会社のANAやJALのラウンジでも行われています。ANAはどこに行ってもANAの香り、JALはどこに行ってもJALの香りというわけです。