※本稿は、飯山晄朗『科学的に裏付けられた教えるスキル』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
成果をあげられる人の共通点
目標は決まった、でも実際に行動するのが難しい……これは社会人の多くが抱える悩みだと思います。目標を口で言うだけ、書くだけなら簡単なものですが、ここで問題になるのが「行動の壁」です。
やらなければならないことはわかっているのです。
でも行動できていないということもありますね。
教える相手が、成果をあげられる人なのか、そうでないのかはある程度、口癖でわかります。
成果をあげられない人の口癖の特徴は「それはわかっています」です。
では成果をあげられる人の口癖の特徴はというと「それはもうやっています」です。
何が違うのでしょうか。
そうです。行動しているかどうかです。
なぜかというと、成果は行動からしか生まれないからです。
「行動なくして成果なし」です。
成果をあげるための情報を得ることは大事です。
しかし、情報を得ただけでは何の変化も起こせません。
得た情報を行動に移して知識にしてこそ、成果につながります。
マネジメントの父と称されるピーター・ドラッカーも「知識は、本の中にはない。本の中にあるものは情報である。知識とはそれらの情報を仕事や成果に結びつける能力である」と言っています。
こういった話も多くの人は「知っている」はずです。
でも行動に移していない人は単なる情報レベルで、知識になっていませんね。
では行動を促したいときにはどのような関わり方をすれば良いのでしょうか。
行動を促す「2つの問いかけ」
そんなときには「2つの問い」を使ってみます。
「やらなかったらどうなる?」という問いかけと「やることでどうなる?」という2つの問いかけです。
前者の問いかけは「恐怖の問い」です。これは、どんなデメリット(悪いこと)があるのかを気づかせるための問いかけになります。
この問いかけは、行動しないことを「不快」だと思わせ、行動しないことで起こるデメリット(悪いこと)を思い描かせます。
後者の問いかけは「願望の問い」です。これは、文字どおり願望を思い描かせる問いかけであり、どんなメリット(良いこと)があるのかに気づき、行動することで起こる良いことを思い描かせることができます。
なぜこの2種類の問いかけが大事なのかというと、上司がメリットやデメリットを言わなくても部下が自分の中で答えを見つけることができるからです。
さらに、「恐怖」と「願望」の両方を考え、そして感じることで、「こんな悲惨なのは嫌だ。絶対に行動しよう!」といったように感情のレバレッジを働かせることができます。
実は、この感情のレバレッジが行動の大きな鍵になるのです。