地政学リスクを考慮してポートフォリオを組む

いずれにしても地政学リスクには備えておく必要があります。米国が半導体製造装置の対中輸出を規制すれば、日本も中国へは輸出ができなくなります。その報復として中国は日本向けのレアアースの輸出を規制する可能性があります。

エミン・ユルマズ『エブリシング・バブル終わりと始まり』(プレジデント社)
エミン・ユルマズ『エブリシング・バブル終わりと始まり』(プレジデント社)

私は、アサド政権崩壊により、新冷戦は第2ステージに入ったと見ています。日本の周辺でも実際に紛争が起こるリスクが高くなっています。第2次世界大戦以降、最もリスクが高い時期に入ったのではないでしょうか。

南シナ海や台湾における有事は日本にとっても他人事ではありません。その中で投資によって資産を増やすのは容易ではありませんが、リスクが高いからこそ、経済が活発化し株価が上昇している面もあります。

投資家はこうした地政学リスクがどんな産業に影響するかを見極めて、影響のないセクターをポートフォリオに加えて、リスクヘッジする工夫が必要になってきます。投資家でなくても、ビジネスパーソンであれば、地政学リスクを避けてビジネスを展開していく必要性がますます高まっていく、そんな1年になると予測しています。

(構成=向山勇)