FRBは利下げのタイミングを誤ったのか
そもそもFRBには、2つの使命(デュアル・マンデート)があります。「雇用の最大化」と「物価の安定」です。これまでのFRBは、どちらかといえば、インフレの上振れリスクを懸念していました。
しかし、インフレがだいぶ落ち着いてきたため、雇用が心配になってきたのです。「今後はインフレも雇用もバランスを取りながら金融政策を実行する」との意志表示として、昨年9月に利下げしたのです。
ところが利下げ後の雇用統計は軒並み強く出ました。これを受けて市場は「FRBは利下げのタイミングを誤ったのではないか」と考え、「インフレ再燃につながるのではないか」との懸念を抱いているのです。それが長期金利の上昇という形となって表れています。
長期金利が上昇すればドル高につながります。また、金利が上がると米国のグロース株(成長株)は上がりにくくなります。どこかで金利の上昇が止まらなければ、今後の株式相場の展開は難しいものになるでしょう。
トランプ政策はドル高要因になる
第2次トランプ政権の発足もドル高を後押しすることになるでしょう。トランプ氏は、2025年が期限だった個人向けの減税を恒久化することや法人税率を21%から15%へ引き下げることなどを打ち出しています。これらが実行されれば税収が足りなくなります。その分は国債を発行して賄わなければなりません。
米国が国債の発行を増やすと、全世界から掃除機のように米ドルを吸い上げることになります。それまでドルを簡単に調達できていた新興国はドルが調達できなくなり、ドル需要が高まります。つまり、ドル高要因が発生しますから、ドル円が大きく円高に動くことは期待できません。
一方で、イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省では、国の無駄遣いをカットしようとしています。それが成功して国債の発行を抑えることができれば、長期金利の上昇は止まるかもしれませんが、どこまで実行できるか疑問です。
日本が金利を引き上げれば、円高要因にはなりますが、米国の長期金利の上昇につきあうほどの水準は難しいでしょう。
