米国は年末までに2回利下げする

とはいえ、FRBの金融政策は基本的に利下げ方向にありますし、トランプ氏も利下げをするように圧力をかけてくるはずです。個人的には2回の利下げはあると考えています。

ゴールドはしばらくレンジ相場が続くと思いますが、引き続き買い需要は旺盛な状態に変わりないでしょう。

【図表2】2024年1月を起点とした金価格の変動率

一方で円建てのゴールド価格を考えると、ドル高のときはゴールド価格が下がる傾向にあります。

ドル高は円安です。円安になると円建てのゴールド価格は上がります。今年は「ドル建てのゴールド価格は下がっても、円建てで見ると上がっている」こともあるかもしれません。

ウクライナ問題が解決すれば日本の食料品価格は下がる

今年の金融相場を見通すうえでは、地政学リスクにも注目しておく必要があります。

シリアのアサド政権崩壊やウクライナ問題は日本に直接影響はありません。ただ、ウクライナ問題が起きたときには原油価格が上がりましたし、コモディティの価格も上がり、インフレを加速させました。ウクライナとロシアの戦争が落ち着けば、日本の食料品価格は下がるでしょう。それは日本にとってプラスとなります。

一方で日本にとって影響が大きく重要なのは、米中関係の行方です。トランプ氏が再び大統領になり、中国とどんなやりあいになるか、それが日本にどんな影響を及ぼすかを見極めながら、できるだけ被害を受けないようにしなければなりません。

その意味では、イーロン・マスク氏が米中の仲介役を果たす可能性もあります。テスラは中国・上海に大きな工場を建設中です。テスラにとって中国は大きな市場であると同時に、中国政府からも期待されているはずです。イーロン・マスク氏がトランプ氏と習近平氏の仲介役としての役割を担うのではないかと思います。