金融を虚像だと言い切る人は、世界の本質をつかめない

一方で、ネット上で活発に意見を述べない「サイレント・マジョリティー」の存在も政権は気にしています。静かな、大多数。彼らは表立った行動を取らないものの、政治や経済に関して深い理解を持ち、彼らの投票行動が政局に大きな影響を与える可能性がある。

この層は、これまで大半が自民党の支持層であったがゆえに、政権を取れていたと言えるでしょう。しかし、政治とカネの問題で、日本の大多数を占める賢い層の心が、揺らいでいます。圧倒的な大多数のサイレント・マジョリティーの心変わり、心離れを、チャンスと取る側もいれば、引き留める対応を迫られている側もいるのです。

正しい情報を得たうえで、どう正しい方向に行動し続けるか。この積み重ねが年月を重ねると格差につながります。

馬渕磨理子『一歩踏み出せない人のための株式原論』(プレジデント社)
馬渕磨理子『一歩踏み出せない人のための株式原論』(プレジデント社)

金融を虚像だと言い切り、金融に近づかない選択をしている人ほど、結局、世の全体像や意志決定プロセスの本質を得ることは難しいと思います。情緒的に目先の情報に囚われて人生を過ごしているようにも感じます。

金融に触れると、自分のことなど小さな存在であると思い知ります。ちっぽけであることを知ると、そこから謙虚さが生まれ、世の中の大きな流れを見るようになります。

実体経済の美徳を知りながらも、金融の仕組みを生活の中に内包する。そうすることによって「人生における静けさ(平穏)」を手に入れることができるのではないでしょうか。何事も、謙虚が自らを守るように感じます。

痛みを知ったからこそ「鈍感」になれる。

人の努力に敬意を持てるから「センシティブ」になれる。

投資を通じて心根の優しさを手に入れることができると、今は確信しています。

(構成=力武亜矢)