仕事量の見積もりは想定の1.4倍
ここで気をつけてほしいのは、ひとつの仕事にどれだけの時間を見込めばいいかという問題。
実際に仕事にかかる時間はおおむね当初の想定の1.4倍で見積もっておけば大丈夫でしょう。100時間で完了しそうな仕事なら、140時間です。
なぜなら、どんな仕事であれ、緊急を要する割り込みの案件発生や不測の事態による遅延リスクが潜んでいるからです。
割り込みなどの遅延リスクに遭遇するのが週あたり何日で、そのうちそれに対処しなければいけないケース(発現率)が何%で、その作業に何時間かかるか(影響度)をかけあわせると1日平均0.4の時間リスク(ロス)が出ることがわかったのです。
どんなに効率を重視しても時間ロスは起きる。よって、それをあらかじめ見込み、0.4のバッファ時間を設けたうえで、タームごとの仕事量を決定すべきなのです。余分に見えるこのバッファこそが、時間オーバーで行き詰まって計画倒れ、といった事態を防いでくれます。もし、ターム内で時間が余ったら、次のプロジェクトを前倒しでやっていけばいいでしょう。
誰にも身に覚えのある時間オーバーという失敗の元凶はスケジュールの見積もりの甘さだけではありません。ターム内でもタスクの「役割」をしっかり確立せず、程度のはっきりしない目標にしてしまっている人が多いのです。
たとえば、この1年間で「新規契約件数を3倍にする」という目標を掲げたとします。達成のために、「1日の飛び込み営業を100件する」「月に名刺交換数を300にする」といったことを短いターム内の目標にする人がいます。
これらは一見、具体的に見えますが、「手段」を述べたにすぎません。「○○回やった」という手段が完了しても役割が達成できたとは限りません。たとえば、「おどおどせず堂々と顧客にプレゼンし、『わかりやすい説明だった』とほめてもらう回数を月5回以上達成する」。年間目標と同じく、役割をはっきりさせることが目標設定のあり方です。