予想1:夜間働く麻酔科医が確保できず、無痛分娩はさほど増えない
現在の無痛分娩でもっとも一般的な方法が「硬膜外無痛分娩」である。陣痛の痛みは、子宮から背骨の中にある脊髄という神経の束を通じて脳に伝わる。よって、脊髄を取り囲む硬膜という膜の外側の狭い空間(硬膜外腔)に細いチューブを留置し、そこから麻酔薬を投与することで脊髄神経に麻酔をかけて、脳への痛みの伝達をブロックすることで陣痛や下半身の痛みを軽減する。
陣痛で3分ごとに痛みのために動き回る妊婦にチューブを入れるのは麻酔科専門医でも経験やテクニックを要するし、チューブを入れた後も「麻酔薬の濃度」や「左右の麻酔が均等」など微調整する必要がある。緊急に帝王切開に転じる可能性もあるので、麻酔科医は分娩終了まで待機する必要がある。
無痛分娩による医療訴訟はいくつか事例があり、2021年に「母子とも障害がのこって3億円」、2023年に「母体死亡で7500万円」の判決が報道されている。よって、十分な麻酔科医数を確保できなかった施設では、医療安全を度外視してまで積極的に無痛分娩件数を増やすとは考えられない。
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